志の種はいつの日か
大きな花を咲かせる。
二瀬中学校ハンドボール部
23人生徒全員で挑む大会。
ひたむきに練習した過程はきっと大きな財産となる。
選手はみんなの為に、地域は選手の為に。
郡山駅から東へ20㎞程。校舎へ続く坂道を登ると5月の暑い日でも澄んだ風が涼しく吹き抜けた。郡山市立二瀬中学校、歴史と伝統が詰まった学校であたたかい志を持つ素敵な生徒たちに出逢った。
みんなが取り組むハンドボールは「県内の競技人口は少ない」と顧問の本田先生が話すように郡山市で勝ち上位大会ではなく、オープンエントリーから7月の県大会となる。地区大会がなくても緊張感がないわけはない。みんなが背負っているものは大きい。歴史と伝統はハンドボール部と共にあると言える。昭和49年全中準優勝など、平成でも東北大会優勝など全国に二瀬中ハンドボール部は知られ、今でも練習試合は県外チームとも行う。その時代時代の選手たちが地域に多く関心は高い。女子の髙橋主将のお父さんはOB、後輩への期待は強く「少しプレッシャーもあるけど」と髙橋主将は続けて「卒業した高校生も大会に来てくれ励みになる」とプレッシャー以上の力になっている。
練習はとにかく反復。「体に染み込ませるまで」とチームをまとめる男子の遠藤主将は教えてくれた。ハンドボールはスピード感がありそれでいて連動した動きでゴールへの道筋を開く。選手のポジショニングや間合いがズレると得点は難しい。その為何度も何種類もの攻撃パターンを練習していた。本田先生は「走跳投の基本を繰り返し自信を持ってミスなくプレーして欲しい」選手たちの話と同じで一体感を感じた。
大会まで50日程「怪我なく全員で挑みたい」と話すのは理由がある。閉校だ。今年度が二瀬中学校として最後の試合となるかもしれないから。目標は選手たちが決め、今年は県大会で勝つこと。新入生を迎え男女ともフルメンバーで戦え、試合も勝てるようになってきた。「目標に向かう姿勢を学んで」と言う本田先生の思いはその先に勝つ喜びや精一杯やりきったと感じて欲しいから。家族や先輩、地域の方々全ての思いを背負い挑む大会「一番は楽しくプレーしたい」と口を揃えた主将のふたり。「いつも緊張と大会の雰囲気に顔が暗くなる」と髙橋主将。「練習でできていても盛り上がらずミスがでる」と遠藤主将。それでもお互いのチームを「女子は団結力や細かい動きの指示ができて凄い」「男子チームはナイスシューと声を出しあって良いな」とよく見ている。
今が一番楽しい、できるプレーがたくさんあるからとハンドボールを楽しんでいる。「高校でハンドボールを続ける生徒を増やしたい」と言った本田先生の気持ちは通じ、学校は閉校しても二瀬中ハンドボール部の意志は受け継がれ残るだろう。「大人になっても、二瀬の地域みんなで集まってハンドボールできたら楽しい」主将たちはそんな将来を夢見た。